ぶらり明日香さんぽ

古代史のふるさと 明日香村 をのんびり散歩しながら、四季の風景やちょびっと歴史に触れるブログです。気ままに歩き、ときどき別の町へもぶらり旅。明日香の魅力をゆるりとお届けします!

新沢千塚古墳群を歩いて、カフェでひと息

 

古墳散策の合間に、ひんやり甘いひと休み

氷の音がカランと鳴る。黒々としたアイスコーヒーに口をつけると、まだ夏の熱気を残した身体にすうっと染みこんでいく。添えられたアイスとクッキーは、見た目も愛らしくて、少し子どもじみたわくわくを呼び起こす。最近できたカフェで、こうして一息つくのは、散策のご褒美みたいなものだ。

さて、今日の散歩先は新沢千塚古墳群。名前を聞いただけで、なんだか胸が高鳴る。かつて「川西千塚」や「鳥屋千塚」と呼ばれていたこの一帯には、総数およそ600基もの古墳が並んでいる。壮観、というよりも圧巻だ。これほどの数の古墳が肩を並べているのは、日本でも屈指の光景らしい。

古墳が造られはじめたのは4世紀の終わり、つまり今から1600年ほど前。まだ日本が「倭」と呼ばれていた時代だ。大和政権が形を整えはじめ、人々が力を示すために大きな墳墓を築いた頃。とりわけ5世紀後半から6世紀前半、つまり百年ほどのあいだに最盛期を迎え、たくさんの塚が築かれた。まさに古墳ラッシュ。遠い異国の品々が副葬品として納められていることからも、ここが大陸とのつながりを持つ重要な地であったことがうかがえる。

1960年代の開墾計画に伴って、多くの発掘調査が行われたという。126号墳からは、はるばるペルシャから運ばれてきたとされる品も出土した。ここに眠る人々は、海を越えた文化の気配をも身近にしていたのだろう。古代の奈良が決して閉ざされた世界ではなかったことに、思わず遠い空を見上げた。

1600年前も、きっと同じ空を見ていた

そんな新沢千塚は1976年に国の史跡に指定され、今では緑のなかをのんびり歩ける散策路になっている。小道を辿れば、古墳が小さな丘のように点在していて、草の匂いと風の音が混ざり合う。夏の空に白い雲が流れていくのを眺めていると、古代の人たちもきっと同じ空を仰いだのだろうと思えて、心がふわりと軽くなる。

カフェの涼しさと、外の陽射し。二つの世界を行き来しながら、気がつけばグラスの氷もすっかり小さくなっていた。古墳散策の余韻を胸に、また一口。やわらかな時間が、今日も静かに流れていく。