朝からやけに空が青くて、冷蔵庫の麦茶に手を伸ばす前に、ふらりと植山古墳公園へ。
石柱に「植山古墳公園」と彫られている。白い雲ひとつない空に、この石の影がくっきり落ちていた。こういう風景を見ると、なんだか昔の人も見てたのかも、なんて思ってしまう。

ここの古墳には、なんと熊本の宇土から運ばれた阿蘇ピンク石が使われているらしい。約860キロも離れたところから。想像するだけで気が遠くなる。石を運ぶって、今みたいにトラックがあるわけじゃなし。川を使ったり、牛車だったり、いやもう、気が遠くなるような労力だったろう。だけど、その石をわざわざ選んだということに、何か大きな意味があったのだろうと思う。
そう、ここは推古天皇と竹田皇子の初葬地とされる説がある。ちょっと背筋が伸びる。
古墳の上に登ってみると、ぐるりと青垣が広がっていた。葛城、二上山、生駒の稜線。遠くの山々はぼんやりと淡く、手前の田んぼの緑はやけに鮮やか。日差しが強くて、写真を撮る手も汗ばむけれど、見晴らしの気持ちよさがすべてを帳消しにしてくれる。

腰を下ろしておにぎりでも食べたくなるような、そんな静かな場所。だれもいないかと思いきや、草の中からバッタが跳ねたりして、それがまたちょっとしたごあいさつみたいで、なんとも可笑しい。
「歴史」って言うと肩がこるけれど、こうして公園の園路を歩きながら、風に吹かれて「ああ、ここに天皇が眠ってたかもしれないのか」なんて思うだけで、もうそれは立派な歴史とのふれあい。
今度は春にでも来ようか。風がもっとやさしくて、桜でも咲いていれば、石棺の向こうに咲く花の影を想像してしまうに違いない。
またぶらぶら歩きに行こう。歩くって、いいもんですねぇ。